ハビー・ベニテツがすごかった
「マジックでもっとも大切なことはなんですか?」
あるマジックコンベンションで、タマリッツがその質問に対してパッションだと答えていました。
アスカニオは極めて論理的にマジックを研究していましたが、一番重要なのはマジックへの愛であることを強調していたそうです。
スペインはやはり情熱の国です。
ハビー・ベニテツもそんなスペインのマインドを大切にしているマジシャンでした。彼はスライト、手順構成、演出の全てに秀でていました。もちろんそれはマジックに対して情熱的に取り組んだ結果でしょう。そしてなんと言っても彼の圧倒的なアクト。それを支えているのもまた溢れる情熱でした。
ハビーのアクトで有名なのはFool Usでも演じた傑作レクエイムです。そのルーティンはアスカニオの生涯を表しており、起こる現象ひとつひとつに強い意味が込められています。それらの意味は決して見てわかるものではないのですが、そこに込めた熱量は観客に届き、それが心を揺さぶります。レクエイムの演技を初めて生で見た私は、他のマジックショーでは味わったことのない種類の感動を覚えました。
ハビーのマジックへの愛情の強さは普段の会話からも感じられました。マジックの質問をすると、彼はいつも真剣に考えてから丁寧に答えてくれます。彼のマジックの分析力がまた半端ではありません。彼の考察の鋭さと深さには驚かされるばかりでした。
3日間、彼と楽しい時間を過ごし、たくさんのマジック談義を通じてさまざまなことを学びました。しかし、マジックへの熱意を吹き込んでもらえたことが、私にとって一番の収穫です。
ポン太 the スミス